西武、佐々木麟太郎の加入を調査中―来年6月まで米国でプレー継続

佐々木麟太郎選手が、来年6月まで米国スタンフォード大学でプレーする意向を示す中、埼玉西武ライオンズは「調査中」との姿勢を明らかにした。2025年10月21日、同球団の広池浩司ゼネラルマネージャーは「まだわからない。材料を含めて調査中」と語り、米国でのスカウティングチームを派遣したことを確認した。現在、各球団は2025年NPBドラフトに向けて候補選手リストを固めている。

背景と選手のこれまでの軌跡

佐々木は岩手県北上市出身で、花巻東高等学校在学中に140本ものホームランを放ち、当時は「間違いなく一巡目の指名権」とまで評されていた。高校時代の甲子園でも活躍し、当時のロッテ監督は「あの時欲しかった」と回顧している。中学生時代は大谷翔平選手の父・大谷翔平の父が指導する金ヶ崎リトルシニアでプレーし、将来のMLBスターへの道を垣間見たという逸話もある。

2025年ドラフトに向けたスカウティング活動

2025年4月、埼玉西武は4人のスカウティングチームを米国に派遣し、スタンフォード大学の試合を細かく観察した。同時に読売巨人軍の水野本部長代理が率いる3人チームも同じ時期に現地視察を行い、さらに別チームのNPB球団も匿名で情報収集を実施した。調査対象は打撃フォームやバッティングタイミングだけでなく、学業とのバランスや将来的な留学継続意向まで掘り下げられた。

各球団の姿勢とリスク評価

埼玉西武の広池は「リスクはあるが、もし日本人パワーヒッターが戻ってくるチャンスは大きい」と語り、指名候補リストに明記した。一方、千葉ロッテのサブロー監督は「ポジションは1塁専だが、長打力は計り知れない」と期待感を示すが、実戦経験の不足を懸念している。東京ヤクルトは「選手の意思が最重要。米国での成長を見守りつつ、適切な時期にアプローチしたい」と慎重姿勢だ。

専門家が見る影響と今後の展望

野球評論家の小林哲郎氏は「今回のケースはNPBがアメリカ大学出身選手をどう受け止めるかの試金石だ」と指摘。近年、米国大学からのドラフト指名者は増えているが、契約締結までのハードルは依然として高い。もし佐々木が2026年6月まで米国でプレーし続けるなら、NPB側は「将来的なMLB移籍の可能性」も考慮しなければならない。

次のステップと注目すべき時期

2025年10月のNPBドラフト会議が最終的な決断の場になる。各球団は「指名後の交渉余地」を見込んで、1巡目指名か2巡目以降の指名かを慎重に検討するだろう。もし指名されても、佐々木が2026年6月以降に日本へ戻る意思を示さなければ、契約は成立しない可能性が高い。今後は、スタンフォード大学での成績とMLBスカウトの動向が鍵を握る。